プロジェクト紹介


コミュニティソーラーシステム

 当社ではこれまでのプロジェクト経験から、未電化村落に太陽光発電を導入して維持していくためには、まず村人に太陽光発電で発生した電気がどのようにバッテリに充電されて生活に利用されるかをよく理解してもらい、電池の+と−のちがいなどの太陽光発電技術に慣れてもらうことが出発点と考えており、コミュニティーソーラーシステムと名付けた多目的太陽光発電設備を村落ごとに設置して、村落の住民がいつでも利用できるようにすることを提唱している。小規模な太陽光発電は誰でも設置し、利用できる技術なのであるが、知らない人にとっては触るのも恐ろしい難解な装置と見なされやすい。これでは簡単な保守作業すら困難であり、バッテリの劣化などに対応できず使われなくなってしまう。まことにもったいない話である。
 

 コミュニティソーラーシステムは、学校や診療所といった公共施設に大きめなソーラーシステムを設置して、その施設が電気を使えるようにすると同時に、余裕のある発電能力を利用したバッテリ充電機能を追加して、村人も自分のバッテリを充電できるようにするというシステムである。公共施設を太陽光発電で電化するという事例は途上国では大変多いが、これに充電機能をプラスするというところがポイントである。このシステムが村落に導入されれば公共施設の機能は格段に向上するほか、携帯電話などの充電に苦労している人たちはすぐに充電機能を利用するようになるであろう。またもっと電気を使いたい比較的裕福な住民は大きめバッテリを買ってきてテレビを見たりするようになり、その結果、村中に太陽光発電についての関心や知識が自然に広まっていく。特に若者はこういった新しいものを使いこなすのがうまい。こうなればしめたものである。知識を持った人が指導者となり、将来、各戸にSolar Home Systemが設置されても、その維持をきちんとやっていくことが可能になるはずである。これまで、こういった基礎作りを行わずにいきなり未電化村に太陽光発電設備を導入したため、住民が操作や維持管理などに戸惑い、結局外部に依存する結果となってそのコストを負担できず、利用者が減少してプロジェクトが消滅してしまったという例が多かった。やはり何事も基礎作りが大事ということである。

 このシステムを導入すれば、設置された公共施設では充電料金を徴収することができ、その資金を貯めていけば、劣化したバッテリの交換や切れた蛍光灯の交換なども可能になり、太陽光発電設備を長期間にわたって使い続けることができる。また、住民も太陽光発電の利用方法、保守方法を知り、村落全体がそういった知恵を共有できる。まさに、途上国の農村部において持続可能な太陽光発電システムを実現するための「最強の入門用システム」と言えるだろう。


コミュニティソーラーシステム(多目的公共用
PVシステム)


     診療所などの村落内公共施設に太陽光発電システムを導入し、
     その施設での電気利用を行うとともに、住民が保有するバッテリの
     充電利用にも活用するという多目的システムである。



  
コミュニティソーラー第1号

 2008年4月、当社ではラオスのフォンソンブン村の小学校にこのコミュニティーソーラーシステムを設置した。これまで提案してきただけで実践していなかったが、これからはラオスの多くの村でこの方式を実践できる体制が整った。この村は首都ビエンチャンから1時間半の場所にある未電化村落である。設置したシステムは150Wソーラーパネルと充電用コントローラの1セットであり、さらにもう1セット追加する予定である。この小学校では生徒が100人ほどいるが、本や教材が不足していると校長先生が嘆いていた。このコミュニティーソーラーシステムによって村人から充電料金をもらうことができるようになり、校長先生はその収入で教材をたくさん購入したいと張り切っている。将来のフォンソンブン村を背負う小学生諸君も太陽電池による電気の利用方法について自然に覚えていくことだろう。当社が提唱してきたこのシステムがどのように運用されていくのか、当社は今後もフォローしていく予定である。


フォンソンブン小学校の校長先生(左)と子供たち

まだ4月だが気温は30度以上。ひと仕事のあとはビアラオが旨い!!!!


  
コミュニティソーラー アフリカへ行く

 2009年12月、当社ではアフリカのガーナで実施中のJICAプロジェクトの中で、充電機能を持ったコミュニティソーラーシステムを設置し、村人がどのように利用するかを調べることとした。アフリカでは携帯電話が大変普及しており、電気のない村でもたくさんの人々が携帯電話を使っている。ここで大問題なのがその充電なのである。電気が来ていないので、近くの電気のある町までかなりの時間を費やして行き来する人が多いが、なかにはガソリン発電機を使って充電するという人もいる。当社がコミュニティソーラーシステムを設置したTomefaという村は湖の対岸に孤立しており、住民はこれまでボートを使って町に行って充電していた。しかし、彼らの大部分は泳げないそうで、まさに命がけの充電だったのである。このシステムの建設中から住民が多数集まってきて、早く完成させて欲しいという声が日増しに高まっていった。

 完成後、現在までこの設備は順調に運転している。写真でもわかるように連日、数十個の携帯電話が持ち込まれる。1回の料金は町の充電料金と同じ約30円であるが、これまでボートに乗って一日がかりで充電していたのに比べれば大変な生活改善である。住民の圧倒的支持を得た結果、
このコミュニティソーラーシステムは運転開始直後から黒字経営となったのである。といっても経費はオペレータの賃金だけであるが。もちろん、JICAのプロジェクトの一部であるから、得られた収益はこのシステムの保守のほか、住民の生活改善に活用される。


Tomefaのコミュニティソーラー内部とオペレータ


 当社は携帯電話充電によって住民が喜び、また大きな収入が得られていることで満足はしていない。これは序の口である。当社はさらに前へ進んでいく。それは、現在、Tomefa村で使われている灯油ランプから充電式照明器具への転換を促すことである。充電設備があればこれはすぐに導入できるのだが、住民のほとんどはこういった器具についての知識を持っていない。これが普及すれば、これまでの暗い灯りしか使えず、しかも煤や煙に悩まされていた生活から解放され、住民の生活は大きく改善されるであろう。また、炭酸ガスの発生も減るため地球温暖化抑制にも貢献する。一石二鳥のアイデアである。こういった充電式照明器具は懐中電灯に充電式電池を組み合わせたものなどがすでに地方部でも販売されはじめているが、まだ使い勝手が悪い。もっと電池の容量を大きくして1週間に1回程度の充電でよいようにしたいところである。また、できるだけ明るいものが欲しいが、そのためにはエネルギー消費量が圧倒的に少ないLEDの利用は絶対条件となるであろう。もちろん、こういった器具を購入することは住民にとって一時的な負担となるが、灯油価格も上がってきているため、彼らは毎月500円程度は灯油代に支出しているはずである。このため、こういった充電式照明器具を利用し、太陽光発電を利用して充電して使うほうが安上がりになる可能性が出てきている。そういう時代が来たのである。あとはそういった器具に関する知識を広めていくことである。知らなければ誰も町まで買いには行かない。当社ではこういった商品を開発してくれる国内メーカーを探しているところである。

 また、アフリカではヘアスタイルにうるさい男どもが多く、充電式バリカンはヒット間違いない。将来的には、ノートパソコンや小型液晶テレビなどさまざまな充電式器具が普及していく可能性があり、ソーラー充電ビジネスは最近話題のBOPビジネスとしても大きなビジネスチャンスになりそうである。充電設備があれば、アフリカの奥地でタブレットパソコンを使いながらインターネットで電子書籍をダウンロードするということも夢ではない。代金の決済はどうなるのかって? それも携帯電話でできるんです。
 このように、コミュニティソーラーシステムは未電化地域の生活を大きく変える基本的なインフラとなりうるのである。



充電式照明のPR用に作成したポスター(ガーナ)



  中古ソーラーパネルを集めて途上国で使う

 コミュニティソーラーシステムで充電を行う場合、自動車用バッテリの充電にはだいたい150Wぐらいのソーラーパネルが必要となる。これに対し、携帯電話や充電式照明器具の充電であればこれよりも小さいサイズで十分である。150Wクラスのパネルは最近ではわが国の太陽電池メーカーの標準的なサイズになっているが、途上国の農村にとりつけるためには大きすぎて、運搬や施工面で不便な場合がある。また、住宅用のSolar Home Systemであれば適切なサイズとしては50W程度で十分である。こういった理由から、当社では今後、多くの村落で太陽光発電を展開するため50Wクラスのパネルを大量に確保したい。150Wにするためには50Wを3枚並べればよい。

 このサイズは国内メーカーはもはやあまり作っていないのだが、ひと昔前は標準サイズだった。ここまで読んでひらめいた方もおられると思うが、わが国では1980年代ごろから設置されはじめたソーラーパネルが、今や住宅やビルの建て替えなどでその役目を終え、建築廃材として出てくるケースが出始めており、そういった中古のソーラーパネルを格安に入手できれば、それは途上国にとってまさにピタリの資材となるのである。ソーラーパネルは大変長持ちするもので30年以上問題なく使える。
当社としては、コミュニティソーラーシステムの展開と同時に、今後大量に放出される中古パネルの途上国への提供の可能性についても取り組んでいきたい。温暖化ガスを出さない太陽電池は先進国だけでなく、途上国でも大いに利用可能なのであるが、途上国の限られた資金でできるだけ多くのソーラーパネルを入手できるよう、国内で捨てられる運命の中古パネルにもうひと働きしてもらいたい。海外では最近設置された太陽光発電設備がほとんどであり、撤去されるケースはまだほとんどなく、中古パネルが出回ることは考えにくい。中古パネルの提供は日本しかできない援助なのである。

 この中古パネルの活用構想は当社が以前から暖めていたアイデアであり、アフリカなどでコミュニティソーラーシステムの芽が出てきたことから、ようやくその機が熟してきた。いよいよ出番である。現在、国内に設置されている太陽光発電設備は約180万kWと推計されており、その1%を再利用できたと仮定すれば18,000kWであり、50Wパネルとしては36万枚となる!!! ワーォッ!!! これだけあれば大変な数の太陽光発電設備を途上国に設置できる。中古パネル確保のための財源としては当社のCDMプロジェクトから得られるクレジットの売却で得た資金を使う予定である。一戸でも多くの世帯が電気を使えるようにしていくことは当社の長期的な目標である。当社が実験的に進めてきたCDMプロジェクトやコミュニティソーラーシステムが有機的に結合され、最終的には「途上国の持続可能な開発」に貢献することができれば、こういったプロジェクトに取り組んできた過去10年の苦労が実るということになる。ちょっと時間かかりすぎではあるけれども・・・。